Mama & Tiger Cub

少年を育てる。音楽、エシカル、モータースポーツ

2011-01-01から1年間の記事一覧

星から見たら

私たちの家だけ 盛り土がしてある 爪を伸ばした河川のはざまで 大男がため息をついて吹く大風 微生物たちが喰らって浸食していった崖 気が付いたら 塔になった 星から見たら 若虎の遊ぶ 空中庭園 星から見たら 暗号を放つ 巨大絵画の臍 私たちの家に スター…

影絵

一昨年のクリスマスイブに 初老の男性がやってきた VPシャントが入っていたが ひどい肝硬変だった 翌クリスマスの日に 卵は子宮の中におりてきた 目は見えないまま 行方知らず足を這わせる 悪阻に耐えて 私は老人の腹水を抜きつづけた しゃがみこむのも苦…

宙がえり

寝息をたてる夫の体躯に そっと膝を乗せ これが二段目 踏み切って宙返り 一気に羊水の中 蹴りあげてバック宙 赤ん坊は眠っている 丸いベッドの中で夢を見る 彼らが目を閉じたから こんにちは ここに帰ってきた ここで一回転 踊り場でお茶を用意してあるよ ソ…

再生

わたしが初めて蜂に刺されたのは わざと雨戸を閉めた 真っ暗闇の部屋の中のこと 色セロファンに 懐中電灯をあてて 幻燈を映し出す 赤い色 緑色 透明なセロファンの間に 潜む虎斑の生き物 左手の薬指に毒針を残し 一匹のオオアシナガバチが死んだ わたしの左…

ガラス 鼈甲 ガラス

ガラス 鼈甲 ガラス 交互につなげてある わたしの 特別だけど 効き目の浅い 薬を入れる 16面体 燻した銀の縁取り 彼の頭上にに鉄柵 間断ないインスピロンの音 ガラスの屈折 きれいだね 男が扉のところに立っている 異教徒を選り分ける番人だよ 女が扉のとこ…

ナタリー

鉄紺色の湿ったコート 駅で列車を待っている 顔より大きい革鞄と 浮き沈みするソーダの泡より 翻弄されやすい 変わらないのは 駅の雑音だけ ナタリー あんな可愛い娘いない 何故分からなかったのだろう こんな単純なこと 白目勝ちの目 たまたま乗った普通電…

13階

血だまりが見えると 君が指をさす こうやって13階から眺めていると 遠巻きのシネマのよう 刺すような寒さが 出口を封鎖し 息詰まる寒い路上と非常灯 這い蹲る人間たち こうやってふたりで 眺める ここで愛し合い お互いの顔を見てきた 天からは雪が降る 藻…

superprivate

A woman walked in and ask where is The Superprivate. She wants to hold and clash his bones. A man haunts to ask how to get ritches Around my black car, Seize The secret inside the black car. They grieve and sob aim and envy aim my neck wit…

砂袋

明けの暗闇の中で Kが動いた拍子に 小柄なQの関節を割りました この小さな島では予想されたことです 嘆き悲しんだLは 砂袋を抱いて眠りました 砂の重さを離そうとせず 砂の香りを嗅ぎ続けるL 申し訳ない顔をするK こんどは幾箇所も骨の折れたQを 袋に入れま…

緑青色

明るみに目が慣れすぎて あたりが暗く見える かかとの高い靴で 人の息吹をよけ歩く 暗闇に目が慣れすぎて あたりが明るく見える 体温を共有する哺乳類 冷たい眠りに沈んでいく 緑青色に壊れていく夜明け 夜を信用していないのは あたしのほうだ